導入事例

風力発電システムの雷対策

遮るものがない風力発電システムは直撃雷(落雷)に曝される想定で対策を

設備の性質上、遮るものがない広大な敷地に設置される風力発電システムは直撃雷(落雷)を受ける前提で設計しておりますが、想定以上の大きな雷が発生すると雷被害が出ます。被害が出ると、直撃雷の分流成分が風車に入り込み、機器に大ダメージを及ぼすことがあります。また機器の損傷だけでなく、風車そのものに大きな被害が出ることもあります。過去には風車に雷が直撃し、ブレードが剥離するなどの事例も発生しています。
日本海側にある風車は冬季雷の対策も求められます。日本海側で発生する冬季雷のエネルギーはすさまじく、通常の雷よりも100倍ほど大きなものもあります。また、山頂に設置されている風車の場合、土壌が硬い岩盤の上に建設されたものもあります。その場合、接地抵抗が高くなり、電位差が発生しやすい(雷サージの影響を受けやすい)といえます。

対策していない場合の危険性
  • 直撃雷によりブレードの剥離、破損
  • 風車の機器の破損、誤動作
  • 設備復旧まで風力発電設備の操業一時停止

風力発電システムの雷対策ポイント

対策ポイント
一般的に風車は600V~690Vで発電しますが、電力系統に連系するためインバータ、コンバータを使い、AC→DC→ACに変換し周波を揃えます。そして変圧器で22kVに昇圧して変電所に連系します。
そこで風車専用のAC600V対応の風力発電システム専用電源用SPDを取り付け、電源系統を雷サージから保護します。制御装置には耐量の大きな信号回線用SPD(形式:SA-GZAシリーズ)を取り付けます。また、耐雷トランスを用いて、絶縁することも適切です。
風車自体に直撃雷が想定されるため、風車自体の電位が上昇し、風車内の機器に直撃雷の分流成分が流入する可能性があるので、接地間連接用SPDを設置し接地から流入する雷サージを処理します。
また、風車が直撃雷を受けた際はブレードなどが損傷している可能性があるため、いったん風車を停止し、点検をするのが望ましいです。そのため、風車タワーの根本に直撃雷検出装置を取り付けて、直撃雷を検出し、外部に警報接点を出力します。
変圧器にも雷サージが侵入する可能性があるので、22kVの特高ポリマー避雷器を取り付けます。変電設備内には、屋内用を、配電線には屋外用を取り付けます。外被がポリマー素材のため、従来の磁器タイプよりも小型軽量化が可能となりました。
接地抵抗が高い場合は雷被害が拡大する恐れがあるため、接地抵抗低減材を用いて、接地の改善を行います。
対策例

設置例

風力発電システムの雷対策製品