導入事例

太陽光発電システムの雷対策

敷地が広いため接地間電位差が発生しやすく、また遮へいのない屋外に設置されるため、雷の影響を受けやすい

太陽光発電システムは広い面積を持ち遮へいのない屋外に設置されるため、雷による過大な電圧の影響を受けやすいシステムです。
(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2008年度に調査した「太陽光発電システム雷害の状況・被害低減対策技術の分析・評価などに係わる業務」報告書によると、太陽光発電システムの被害のうち、およそ28%が雷に起因しています。その被害の中でも、計測システムとパワーコンディショナ(PCS)の被害が多くを占めていると報告されています。特にパワーコンディショナ(PCS)は直流系統、交流系統、通信・制御系統が集中しており、複数の雷サージの侵入経路があるため、雷被害を受けやすい機器です。パワーコンディショナ(PCS)を含む被害の場合、装置自体が高価な上に、故障した場合には復旧に時間を要すると考えられ、二次的な損失も含めるとシステムの中でも特に対策が必要な機器と考えられます。
太陽光発電施設は雷によって機器が停止すると、発電できずに送電(売電)不可能となります。大きな発電施設の場合、1日稼働していないだけで数十万円の損失になることもあります。
また、電気設備技術基準に規定された電気用接地抵抗値を確保するため、接地工事も重要です。山岳地帯などでの発電所の場合、大地抵抗率が高い土壌が多くなり、接地抵抗値の低減も必要になってきます。連接接地が不可能な場合もあり、低コストの接地工法が求められます。

対策していない場合の危険性
  • 直撃雷の被害:落雷により太陽電池アレイが破損
  • 誘導雷の被害:パワーコンディショナ(PCS)や集電箱、接続箱、データ計測装置などの設備や機器の停止や誤動作
  • 二次被害:操業停止による機会損失など

太陽光発電システムの雷対策ポイント

 
対策ポイント
雷サージ対策に加え、OTOWAグループ連携により、太陽光発電システムの安全をサポートします。 直撃雷対策や太陽光メンテナンスはN I Pエンジニアリング、系統安全は長谷川電機工業、接地設計は地質環境テックが担います。すべてのグループ会社で複数の太陽光発電所での採用実績があります。

(1)直撃雷対策
大規模発電システムは地上置きが大多数であり、設備の高さが低く、その場合には法的に外部雷保護システムの設置の義務はほとんど ありません。しかし、太陽光発電システムはその性質上、周囲に影となる高い構造物などがない、開けた広い場所に高価な設備を構築することから直撃雷の被害を受ける可能性があり、受雷部システムなどによる外部雷保護システムによる対策を推奨しています。 受雷部システムは、雷撃を直接受ける部分で、水平導体(棟上げ導体)、垂直導体タイプ(突針)を単独または組み合わせて用います。太陽光発電システムは影が発電効率に大きく影響するので、パネルに影を作りにくい受雷部システム部材とすることが重要です。

(2)雷サージ対策(誘導雷対策)
直流系統や交流系統、通信・制御系統など、保護対象ごとに適切なSPDを設置します。各装置に対して雷サージの侵入ルートは、下記の通りに大別されます。
①電源線(AC/DC)
②通信・信号回線
③接地線
これらの侵入ルートに対し、各装置の直近にSPD(サージ防護デバイス:Surge Protective Device)を設置し、過電圧を抑制します。また、各装置及びSPDの接地線を接続して、電位差を軽減することも対策上有効です。 雷サージの侵入ルートとなる電源線(AC/DC)、通信・信号回線、接地線などにそれぞれにSPDを設置し、各装置の接地とともにSPDの接地線をボンディング用バーに接続します。 太陽光発電設備と一般的な低圧電源設備の大きく異なる点として、太陽電池パネルからパワーコンディショナ(PCS)までが高い定格電圧であることに加え、その部分に使用するSPDはDC電源であることから、SPD動作時の続流に対して注意する必要があります。そのため、SPD動作による続流への対応として、続流の発生しない酸化亜鉛形DC電源用SPDを使用することをお勧めします。

(3)接地コンサルティング
電力設備技術基準に規定された電気用接地抵抗値を確保するため、接地抵抗値の低減を行います。大地抵抗率の測定調査、接地設計(接地工事の種類や工区の選定等)、接地工法を選定し、工事の現場対応まで対応します。

(4)太陽光発電システムの系統安全
直流用継電器(DC漏電検出器、プラグイン式直流地絡リレー、直流地絡変流器)や各種機器を設置し、安全な電気の流れを制御・監視します。また機器の点検作業には検電器が最適です。検電器には交直両用検電器HT-670、HSN-6A1をご用意しています。

(5)メンテナンス
太陽光発電設備は電気設備のため、安全に運用を続けるためには定期的な点検を行なうことを推奨いたします。
①太陽光発電設備の性能診断・点検
②SPD点検
③LED更新工事
④その他、設備更新・改修工事
対策例

太陽光発電システムの雷対策製品