技術情報・導入事例

建築物の雷保護システム

建築物等の雷保護システム LPS(Lightning Protection System)

目的:落雷によって被害を受ける建築物等および人畜の保護

建築物等への物的破損及び人命を雷撃から保護する手順を定めたJIS Z 9290-3:2014【建築物等への物的損傷及び人命の危険】は、「外部雷保護システム」と「内部雷保護システム」で構成されます。

建築物等の雷保護システムの選定

ステップ1外部雷保護システム(外部LPS)の選定

外部LPSとは、建築物自体および生命や内容物の物的損傷を防止するため、接近した落雷を確実に捕捉し、安全に大地に放流するシステムです。建築物や設備の重要度に応じて、JIS Z 9290-3に基づいた保護クラスを決定し、外部LPSを設計します。

手順①雷保護レベル(LPL)の選定及びLPSのクラスの決定

建築物の重要度及びその地域の落雷密度や立地条件を考慮し、施主および設計者と協議し決定します。

手順②外部LPSの各システムの選定

  • ◎受雷部システム
    • ・受雷部の配置(回転球体法、保護角法、メッシュ法)
    • ・受雷部の構成要素(突針、水平導体、メッシュ導体)
  • ◎引下げ導体システム
    • 直接法、構造体利用法(簡略法)
  • ◎接地極システム
    • A形接地極(水平接地極、垂直接地極、板状接地極、閉ループを形成しない基礎接地極、水平・垂直組み合わせ)
    • B形接地極(環状接地極、メッシュ接地極、閉ループを形成した基礎接地極)構造体利用接地極

ステップ2内部雷保護システム(内部LPS)の選定

内部LPSとは雷によって発生する危険な火花放電および雷の電磁的影響を低減させるため、雷等電位ボンディングおよび外部LPSからの絶縁(離隔距離)をします。

手順①雷等電位ボンディング(EB)による安全対策

感電や火災の原因となる過電圧の発生を防止するため、外部LPSとそれ以外の金属部とをボンディングで直接接続又はSPDを用いて間接的に接続します。

手順②安全隔離距離の確保

磁気遮蔽を行うとともに、配線ルートを検討します。

雷保護レベル(LPL)の設定

JIS Z 9290-1:2014に規定する、直撃雷を考慮した雷電流パラメータ(雷電流波高値)を4つのレベルに分類しており、LPL Ⅰ~Ⅳとしています。また、それぞれのレベルに応じた雷電流の最大電流波高値と最小電流波高値などの雷電流パラメータを定めています。

■雷保護レベルの設定
雷保護レベルの設定
■雷電流パラメータ限界値に対する落雷発生確率
雷電流パラメータ限界値に対する落雷発生確率
雷電流パラメータ限界値に対する落雷発生確率

(JIS Z 9290-1により保護レベルの範囲を記入)

出典:電気設備学会「雷と高度情報化社会」1999年の図1.4.2に加筆

■雷電流波高値累積頻度分布に対する保護レベルの範囲

新JIS(JIS Z 9290-3:2014)における側壁面の受雷部の保護範囲の変更

高層ビルの増加に伴い、JIS Z 9290-3:2014では、高さ60mを超える建築物等の高さの上部20%の側壁部分に受雷部を設けるように定められました。

外部雷保護システムの設置例