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第18回雷写真コンテスト入賞作品発表

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第18回雷写真コンテストに多数のご応募をいただき、誠にありがとうございました。
日本各地・海外での撮影など、一瞬の煌めきを撮影された貴重な作品が多数あり、
自然のエネルギーを強く感じました。
この度、審査員の厳正な審査の結果、入賞作品が決定いたしましたので、発表させていただきます。

入賞作品は下記リンクよりご覧いただけます。
https://www.otowadenki.co.jp/contest_category/num18/

審査員講評

 

審査員 東京大学 名誉教授、一般財団法人電力中央研究所 名誉研究アドバイザー 工学博士 石井 勝氏

雷現象の解明、説明、あるいは雷防護の考え方の普及に有用な作品については学術賞という賞を設けており、この賞が雷写真コンテストの1つの特徴です。近年、入賞狙いの美しい作品が投稿の主流となり、学術賞が毎回出るとは限らなくなりました。今回の学術賞は雷写真コンテスト応募作品としては最初の、東京スカイツリーへの下向き落雷写真です。珍しくないと思われるかも知れませんが、片方の放電路が先端の100mほど下に着雷しています。2020年8月13日夕方には5回、わずか10分間に集中してスカイツリーに落雷があり、しかも上向き雷と下向き雷が混在していたという、これまでどこからも報告のなかった落雷態様でした。今回の学術賞作品は3回目の落雷を捉えたものです。写真には2本の放電路が写っていますが、これは多重雷が2本の放電路を形成したもので、より上方で分岐し、それらの右側にかすかに認められるリーダには、原版では枝分かれがかなり確認できました。下向き3重雷の1番目の雷撃がスカイツリーの先端へ着雷、2番目の雷撃は最初の放電路を外れて塔頂より100mほど下に着雷し、3番目もその経路を辿りました。解像度の良い写真は貴重です。

 

審査員 静岡大学 工学部電気電子工学科 客員教授 工学博士 横山 茂氏

令和2年の夏は、全国的に落雷がやや多かったように思います。近年に比べてコンテストへの応募数が多かったようですが、応募数と落雷の多さの関係は興味深いです。新型コロナウイルスの関係で外出を控えることが多いなかで、美しい写真が多かったのですが、落ち着いて撮影に取り組めたのでしょうか。きわめて短い時間の雷放電が、周囲の景観を切り裂いていく迫力は、時代を超えて人類に強烈な印象を与えたのだろうなあと、いまさらのように感じています。

 

審査員 特定非営利活動法人産学連携推進機構 理事長 妹尾 堅一郎氏

18回も回を重ねると、様々な雷写真のパターンが見えてくる。自然と雷、火山噴火と雷、高層ビルと雷、郊外住宅と雷、神社仏閣と雷…。あるいは雷自体を前面にした雷写真、雷を素材の一つにして構図の美しさを狙った写真…。さらに偶然の一枚、狙って撮った一枚…。他方、ビジネス研究が本業の私には別の興味もある。撮影機材(機器と材料)を一覧すると、初期は銀塩写真が主だったが、今やデジタル写真が主であり、写真産業の栄枯盛衰が見えてくるのだ。いずれ、これらの分析を行ってみるのも一興だろう。

 

審査員 デザイナー 喜多俊之氏

早や18回を迎えた雷写真コンテスト。一つの歴史を刻む形として、年々、質の向上が見られてきました。今年度はコロナ禍の中にも関らず、例年になく多くの応募がありました。グランプリ『一撃』は、絵画の世界のように一瞬を捉えた作品。金賞『雷・電波塔』は天空から大地へ、雷光の強さとスカイツリーが一つの景色。銀賞『雲上に雷鳴ひびく』は大胆な構図。銅賞の3作品もそれぞれオリジナリティの高い秀作が選ばれました。学術賞は今回も珍しい現象を捉えた貴重な作品でした。入選作品も含めて多くの秀作が目立ちました。

 

審査員 音羽電機工業株式会社 代表取締役社長 吉田 修

第18回雷写真コンテストは、前回比70%増、多数のご応募を頂きました。本年は全国的に雷が多く発生、優秀な作品も目白押し、審査員の先生方を悩ませ、苦渋の判定でした。温暖化は様々な気象変化を起こし、雷による森林火災、人命、ネットワーク不通等、社会に大きな影響を与えています。 雷をより深く知る上で、このコンテストに意義を見出し、次回の応募作品に期待致しております。

 

後援 富士フイルム株式会社
公益社団法人日本写真協会会員 (富士フイルム株式会社OB) 山﨑 康生氏

入賞者の皆様おめでとうございます。レベルの高い写真が多数寄せられ激戦でした。写真は世の中の出来事(森羅万象)を記録して伝える道具です。コンテストでは「伝える」部分が評価の分かれ目と成ります。「写ってしまった写真」ではなく、作者の「メッセージが明確な写真」が高く評価されます。カメラの高感度化により夜景が撮り易く成りました。主役の雷を中心に、脇役、背景などが計算された全体のバランスが良い作品が選ばれました。昨年も申し上げましたが、自然科学写真の中でも、「雷写真」はまだまだ未開拓の分野です。天候が悪くなったからと撮影を中止にせず、ダイナミックな自然現象「雷写真」に是非挑戦して下さい。傑作の応募をお待ちしております。