JIS概要 電気及び電子システムの保護

■雷保護ゾーン(LPZ)(JIS Z 9290-1:2014)

雷電磁インパルス(LEMP:Lightning Electromagnetic Pulse)によって生じる電磁界により建築物内部の設備や電気電子機器に障害が発生しないように、LEMPの強さの異なる領域(LPZ:Lightning Protection Zone)を定めています。LPZを定めることで、誘導雷対策、直撃雷対策が明確化され、SPDの選定が可能になります。

雷保護ゾーンの図

雷保護ゾーン(LPZ)の概要
雷保護ゾーン 概 要 SPDクラス
及びカテゴリ
LPZOA 外部
ゾーン
直撃雷、全雷電流、全雷電磁界によって危険にさらされるゾーン。
LPZOB 直撃雷に対しては保護されているが、部分雷電流、全雷電磁界によって危険にさらされるゾーン。
LPZ1 内部
ゾーン
直撃雷に対しては保護されているが、制限された雷電流又は誘導電流、減衰した雷電磁界にさらされるゾーン。 クラスⅠ、
カテゴリD1
LPZ2 直撃雷に対しては保護されているが、誘導電流、LPZ1よりもさらに減衰した雷電磁界にさらされるゾーン。 クラスⅡ、
カテゴリC2

■耐インパルスカテゴリと耐電圧(JIS C 60364-4-44)

JIS C 60364-4-44では、電源系統におけるインパルス耐電圧を下表のように定めています。
図に示すように各フロアの分電盤は耐インパルスカテゴリⅢ、電気機器の入力部はカテゴリⅡに該当するため、カテゴリⅢの分電盤に取り付けるSPDの電圧防護レベルは、カテゴリⅡのインパルス耐電圧以下とする必要があり、電灯系で1500V以下、動力系で2500V以下が求められます。

設備の公称電圧(V) 必要なインパルス耐電圧
設備の原点の機器
(過電圧カテゴリⅣ)
幹線及び分岐回路の機器
(過電圧カテゴリⅢ)
電気器具及び電気使用機器
(過電圧カテゴリⅡ)
特別に保護される機器
(過電圧カテゴリⅠ)
単三120-240 4000V 2500V 1500V 800V
三相230/400 6000V 4000V 2500V 1500V

機器のインパルス耐電圧

■電気及び電子システムの保護にはSPDを

電気機器の雷対策は、雷サージを電気機器に侵入させないことが重要です。
対策方法として、絶縁化・電磁遮へい・等電位化などがありますが、SPD(避雷器)による対策が一般的に広く実施されています。
具体的には、電気機器に接続された電源線や通信および信号線にSPDを設置し、サージ電圧を抑制することで電気機器を保護することができます。

各フロアの分電盤は過電圧カテゴリⅢ、電気機器の入力部はカテゴリⅡに該当するため、カテゴリⅢに取り付けるSPDの保護レベルはカテゴリⅡの耐電圧以下にする必要があります。

SPDの設置例

■SPDの試験規格と設置場所の概要

SPD については、J IS C 5381シリーズにおいてその試験方法や取り扱いが詳しく規定されています。
実際の設計に当たっては、電源系では「回路電圧」や「系統の種類」や「DC・AC」、通信及び信号回線では「信号の電圧」「信号周波数」「信号線の数」などを確認した上で最適なSPD 選定する必要があります。

使用用途 JIS 試験規格 設置箇所、設置目的等
電源用 直撃雷用 クラスⅠ
電流波形:10/350μs
電力引込口等に設置し、建物外へ流出入する直撃雷電流に対応
誘導雷用 クラスⅡ
電流波形:8/20μs
建物内部の分電盤等に設置し、建物内部に侵入又は発生する誘導雷電流に対応
クラスⅢ
電圧波形:1.2/50μs
電流波形:8/20μs
建物内の機器近傍に設置し、建物内部に侵入又は発生する誘導雷電流から機器を保護
通信用
信号用
直撃雷用 カテゴリ D1
電流波形:10/350μs
信号線の引込口等に設置し、建物外へ流出入する直撃雷電流に対応
誘導雷用 カテゴリ C2
電圧波形:1.2/50μs
電流波形:8/20μs
建物内の機器近傍に設置し、建物内部に侵入又は発生する誘導雷電流から機器を保護

 

直撃雷と誘導雷の電流波形の違い

JISにおいては直撃雷の電流波形を10/350μs(代表波形)、誘導雷の電流波形を8/20μsと規定しています。直撃雷波形の方が継続時間が長いため、誘導雷波形とのエネルギー(電荷量)の違いは、電流ピーク値を同じ値とした場合、約25倍以上のエネルギーとなります。

インパルス電流波形

 

等電位化(等電位ボンディング)とは

全ての金属導体を共通に接続し、各部の電位差を低減することで火花放電や感電を防止する手段をIEC・JISでは、等電位ボンディングと呼びます。その具体的な方法として、建物鉄骨や配管などの金属体と電気設備の接地を連接します。
電源線や通信線自体を金属導体に直接接続することはできないため、SPDを用いて電気室や分電盤、MDF室等において等電位ボンディングを行います。

SPDを用いた等電位化ボンディングの例